iOS14.5以降に開発が進む、トラッキングとは異なる広告配信の仕組み

iOS 14.5にATTが導入されてからというもの、スマートフォンにおけるプライバシー保護の問題が重要視されるようになりました。

Androidでも、これまでのトラッキング(ユーザーの行動を追跡し、興味の方向性を分析する手法)に変わる新しい方式を開発し、そちらに移行していくことが示されています。

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効率的な広告とプライバシーのトレードオフ

この問題に対しては、データサイエンティストが広告のパフォーマンスを最適化しつつ、同時に消費者のプライバシーを保護する方法を開発することに取り組んでいます。

iOS14.5ではユーザーのトラッキングに規制がかかり、ユーザーが許可しない限りはトラッキングができなくなりました。
ユーザーの60〜70%程度が許可をしておらず、このためにデジタル広告の効果が低下し、マーケティングコストは20%上昇しました。

ソーシャルメディアでは特に影響が大きく、Facebookは1年で100億ドルの損失を出すとされており、Instagramなど、他のメディアも影響を受け、収益が低下しています。

トラッキングによってなされるターゲティング広告は、消費者のプライバシーを損なうために、忌避されるようになりました。
しかし、企業にとっては広告を効率化する上で重要な意味を持っており、マーケティングコストの上昇は、商品価格の上昇や、サービスの質を低下させる、という形で反映されることにもなります。

プライバシーが保護されるのはよいことですが、そればかりを追求すると、企業の収益が減少し、消費者にとってもマイナスの影響が現れることもあるのです。

バランスをどう取っていくか

このため、ユーザーの興味がどこにあるのかを知るのと、プライバシーの保護の間で、どのようにバランスを取るのかが重要になってきています。

その問題への回答として、匿名化されたデータを使用することが検討されています。
ユーザーの興味がどこにあるのかをデータ化し、それを分析する場所を設けます。
それによってユーザーの興味に関するデータが利用可能となりますが、具体的にどの個人がそれに該当するのかは、企業側には通知されません。

たとえば、ファッションに興味がある、という情報のみが提供され、それが○○○という名前で、何才のユーザーで、どのあたりに住んでいます、といった、個人を特定する情報は提供されないようにするのです。

そしてこの興味の方向性のデータをAIで分析し、最適化された広告が配信されるようにします。

そのようにして、ユーザー個人と、興味のある対象のデータの間に壁を作ることで、プライバシーの保護と、広告の効率化の両立ができないか、というアプローチが模索されています。

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