伊籍 荊州で劉備に仕え、外交や法の制定に活躍した人物

伊籍いせきは劉備に仕え、外交や法の制定を担当した人物です。

あざな機伯きはくといい、出身地はえん州の山陽郡でした。

劉表が同郷だったことから、彼が荊州の刺史(長官)になると、そちらに身を寄せています。

劉備と知り合う

劉備は200年ごろまでは袁紹の元で、曹操と戦っていました。

しかし、袁紹が官渡で敗北し、その勢力が弱まったので、劉表を頼って荊州に落ちのびます。

劉表は劉備を歓迎し、兵員を増強した上で、新野に駐屯させて曹操への備えを任せました。

そして劉備は多くの荊州の人士と交わりましたが、その中で伊籍も劉備と知り合っています。

伊籍は劉備に強く惹かれたようで、足繁く彼の元に通い、頼りにしました。

劉表は荊州のみを治めるには十分な器量を持っていましたが、それ以上のものではなかったので、より高い志を持つ劉備の方に、引きつけられた者たちが多かったのかもしれません。

諸葛亮もそうですが、劉備はこの時期に、知に秀でた幕僚を得るきっかけをつかんでいます。

一方で、劉表は劉備が荊州の人士たちを手なづけてしまうのではないかと警戒するようにもなり、こうした行いは、両者の関係を冷え込ませる原因にもなりました。

劉備を陰謀から救ったという逸話

劉備が荊州で人気を得ると、劉表の腹心である蔡瑁さいぼうらが警戒し、宴会の後で劉備を襲撃しようとした、という逸話があります。

三国志演義では、この陰謀を知った伊籍が劉備に知らせ、その危機を救う、という展開になっています。

しかしこれが事実だとすると、劉表と劉備の関係は破綻したはずですが、そうはなっていませんので、実話である可能性は低いでしょう。

ですが当時の荊州では、劉備に心を寄せる者と、劉表の臣下との間で、いくらか軋轢が発生していたのは、事実だったと思われます。

劉備はどこにいても人と交わることを好み、しかも引きつける力が強かったので、その土地の領主から警戒されたのでした。

劉備に従って曹操から逃れる

やがて208年に劉表が亡くなると、情勢が大きく変わります。

後を継いだ劉琮りゅうそうが、侵攻してきた曹操に、すぐに降伏したからです。

このため、曹操と敵対していた劉備は、荊州の南に逃れました。

伊籍はこの時、劉琮の元を離れて劉備に従う道を選択し、正式に臣下となります。

劉備は先のあてが何もなく、ついていけば相当な苦難に見まわれることが予想される状況でした。

にも関わらず劉備に従ったのですから、伊籍が劉備を慕う気持ちは、相当に強かったのでしょう。


【伊籍に慕われた劉備】

【次のページに続く▼】

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