今川氏真 父・義元の死後に全てを失うも、しぶとく生き延びた武家貴族の生涯について

今川氏真(うじざね)は「海道一の弓取り」と言われた東海道の大名・今川義元の嫡子です。

父が織田信長に討たれた後、9年ですべてを失って大名としての今川氏を滅ぼしてしまいました。

その後はかつて父の家臣だった徳川家康の元で生きのび、子どもや孫は旗本に取り立てられ、小さいながらも今川氏を存続させることには成功しました。

この文章では、そんな氏真の生涯について書いてみます。

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【集外三十六歌仙に選ばれた今川氏真】

今川義元の嫡子として生まれる

氏真は1538年に今川義元と正室の定恵院との間に生まれました。

定恵院は甲斐守護・武田信虎の娘で、武田信玄とは叔父・甥の関係にあったことになります。

1554年には相模(神奈川県)を支配する北条氏康の娘・早川殿と結婚をしており、周辺の大名たちとの間に血縁関係を結んでいました。

この氏真の結婚も含め、今川・武田・北条は三国間で同盟を結び、それぞれに後背の安全を確保した上で、他の地域への侵攻を進めていきます。

家督の相続

1558年ごろになると、父・義元に代わって駿河や遠江(静岡県)の統治を行うようになっており、行政文書が氏真の名で発給されていたことがわかっています。

この頃に義元から家督を譲られ、今川氏10代目の当主になっていたと思われます。

今川氏は将軍家である足利氏の一族で、幕府を開いた足利尊氏の覇権の確立に貢献し、駿河や遠江に領地を与えられて勢力を築いていました。

今川氏はこのため、大名としての実力だけでなく、高い家格を備えていたことになります。

一方では長く武家貴族として君臨していたため、時に和歌や芸事にふける柔弱な人物を生み出すことも多くなっていました。

義元と氏真の分割統治体制

三国同盟の影響で、この頃の駿河と遠江は安全地帯となっていました。

義元は氏真にこれらの統治を任せつつ、自身は三河(愛知県東部)の統治に力を入れ、そこから西進するための下地を形成していました。

三河は尾張を支配する織田氏に対する前線基地となるため、経験が豊富な自分自身の手で統治すべきだと考えていたのでしょう。

氏真はこの頃から公家を招いて和歌の会を開催した記録があるなど、文化的な方面への関心を強く持っていました。

一方で、名門武家の嫡子という立場でありながらも、政務や軍事には熱心ではなかったようです。

それでもこの時期は有能な父が健在でしたので、氏真の性格や能力が問題となることはありませんでした。

桶狭間の戦いと、今川氏の転落の始まり

義元は駿河・遠江・三河の三ヶ国を支配する大大名としての地位を固めると、さらなる勢力の拡大のため、尾張(愛知県西部)への侵攻を企図します。

この頃の尾張はまだ織田信長が統一に成功したばかりの時期で、その力は義元に比べると脆弱なものでした。

義元は三ヶ国・2万5千の大軍を動員し、1560年に尾張に攻め込みます。

対する信長の兵力は5千ほどでしたので、義元は圧倒的に有利な情勢に置かれていました。

戦闘が始まると、今川軍は織田方の前線基地を次々と攻め落とし、順調に戦況が推移していきます。

しかし、義元が率いる本隊5千が桶狭間のあたりを行軍していると、不意に信長が率いる2千の精鋭部隊の強襲を受け、義元は敗れてしまいます。

義元自身も首を取られてしまい、さらに遠江の国人領主たちが桶狭間で多数戦死したことにより、今川氏の領国は激しい動揺に見舞われることになります。

【次のページに続く▼】

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