蒲生氏郷 秀吉が怖れた名将の生涯と逸話

蒲生がもう氏郷うじさとは若くして織田信長に才能を見いだされ、その娘婿となった武将です。

やがて期待に応えて優れた武将に成長し、数多くの戦場でめざましい功績を立てています。

そして蒲生氏は氏郷の元で4万石から91万石にまで、飛躍的な成長を遂げることになりました。

この文章では、そんな氏郷の生涯と逸話を紹介します。

蒲生氏郷

【蒲生氏郷の肖像画】

近江に生まれる

蒲生氏は古来から、南近江おうみ(滋賀県南部)の蒲生郡を支配する豪族でした。

祖先は平将門まさかどを討ち取った藤原秀郷ひでさとで、鎌倉時代から続く名門の武家だったとされています。

そして戦国時代には南近江の大名・六角氏の重臣となり、その勢力を保っていました。

動員兵力が1千でしたので、領地は4万石程度だったようです。

蒲生氏は南近江の一角を占める、中小規模の大名だったと言えます。

氏郷はそんな蒲生氏の当主・賢秀かたひでの嫡男として、1556年に誕生しました。

幼名は鶴千代つるちよと言います。

六角氏が滅び、織田信長に仕える

主君の六角氏は1568年になると、急速に台頭しはじめた織田信長と敵対するようになります。

やがて信長に6万の大軍で南近江に攻め込まれると、ただの一戦で敗れて滅亡しました。

そんな状況の中、父・賢秀は信長に抵抗する構えを見せていましたが、やがて親類で、すでに信長に臣従していた神戸かんべ氏の仲介を受け、信長に降伏することになります。

そして臣従の証として、12才の氏郷を人質として信長に差し出しました。

氏郷と面会した信長は「蒲生の子は眼つきが尋常ではない。あっぱれな若者である。いずれは我が娘婿にしてくれよう」と述べています。一度会っただけで、大変に氏郷のことを気に入ったようでした。

織田信長

【氏郷の才能を見いだした織田信長】

信長は「弾正忠だんじょうちゅう」という通称を持っていたのですが、このうちの「忠」の一字を氏郷に与え、「忠三郎ちゅうざぶろう」という通称を用いるように命じています。

そして氏郷が成人する際には、自ら烏帽子えぼし親になって儀式を執り行い、特別扱いをしました。

こうした経緯から、成人した氏郷は初め「忠三郎・賦秀やすひで」と名のっています。
(当時の武士は、ふだん人から呼ばれる「通称」と、公文書などに記す「いみな」の、二つの名前を持っていました)

なお、「氏郷」は後の名のりですが、煩雑になりますので、この文章では氏郷で統一して書いていきます。

文武に通じ、稲葉一鉄に称賛される

氏郷は武芸の修練に励み、人並み外れた力量を身につけていきました。

そして和歌や仏教、儒学なども学び、教養を備えた人物としても育っていきます。

それに加え、戦いに勝利するための戦術も熱心に学びました。

ある時、信長の元を稲葉一鉄いってつという、軍略の大家として知られる武将が訪れたことがあります。

稲葉一鉄

【稲葉一鉄の肖像画】

そして信長と、次の戦いの作戦を話し合うのですが、その席に小姓こしょうとして氏郷も同席しました。

これは信長と一鉄という、ともに一流の能力を持つ武将たちが作戦を検討する場に居合わせたわけですので、学ぶには絶好の機会だったのだと言えます。

氏郷は夜遅くまで話が続いても怠ることなく、一心不乱に信長と一鉄の言葉に耳を傾けます。

その様子を見て、一鉄は「ずいぶんと熱心に聞いているが、わしらの話が理解できるのか?」とたずねました。

すると氏郷は「はい。一通りはわかるように思います」と答えます。

これを聞いた一鉄は「蒲生の子はただ者ではない。彼は必ず、ひとかどの優れた武将になるだろう」と高く評価しました。

氏郷はまだ13才でしたが、既に信長と一鉄の話し合いを理解できるだけの素養を備えていたのです。

こうして早熟な氏郷は、優れた武将たちの元で、生まれ持った素質を伸ばしていきました。

【次のページに続く▼】

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