木下藤吉郎が豊臣秀吉を名のるまで

武将となり、秀吉を名のる

1560年に駿河の大名・今川義元が大軍を率いて尾張に侵攻してきましたが、信長は奇襲によってこれを見事に撃退し、義元の首級を奪うことに成功します。

そして三河(愛知県東部あたり)で自立した松平元康と同盟を結び、東からの脅威がなくなった状態になりました。

そこで信長は北の美濃(岐阜県)を領主の斎藤氏から奪取することを計画し、そのための活動を始めます。

当初は軍勢を率いて攻め込み、力押しで制圧しようとしたのですが、これがうまくいきません。

美濃の兵は強勢を持って知られていましたし、それを率いる武将たちも粒ぞろいだったからです。

このため、信長は力押しをやめ、調略(寝返り工作)をもって美濃の攻略を進めていくことになります。

これを受けて活躍したのが藤吉郎でした。

そして他国の武将との交渉にあたるに際し、新たに木下秀吉の名前を使うようになります。

小者の頃から名のっていた名前では、身分が上の武将たちとの折衝にあたり、障害となってしまうからでしょう。

この時に、後世にまでよく知られるようになる、「秀吉」の名前が誕生しました。

美濃攻略戦での活躍

1564年ごろに、秀吉は美濃の複数の豪族を織田方に寝返らせる、という功績を立てています。

力で潰さなくとも、寝返らせてしまえば敵の勢力は減少し、味方の勢力が増えていくことになります。

各地の豪族は自身の領地を持ち、自前の収入で家臣や兵員を養っていましたので、勢力がまるごと寝返ってしまうのは容易なことでした。

秀吉は人付き合いがうまく、こうした豪族たちとの寝返りの交渉に長けていました。

それを活かして、信長の有力武将のひとりとしてのし上がっていきます。

雑用係から始まって、10年ほどでここまで出世したのは、身分の上下が激しい戦国の世にあっても、他に例のないことです。

これは能力があれば、元の身分を問わずにふさわしい立場を与えていく、信長の人材活用術によるところが大きいです。

家臣を充実させる

1566年には美濃や尾張で野伏(独立した武装集団)として活動していた川並衆の棟梁・蜂須賀小六を配下にし、武将としての地力をつけていきます。

この蜂須賀小六には放浪時代に世話になっていたことがあり、これを配下にしたことは、秀吉の身分の上昇を象徴するような出来事でもあります。

この後も織田方の切り崩し工作は続き、当主の斎藤龍興が暗愚だったこともあり、斎藤方の家臣は次々と寝返っていきます。

そしてついに「美濃三人衆」と呼ばれる有力な武将たちが臣従したのを機に、大軍を率いて斉藤氏の本拠である稲葉山城を包囲します。

そして城主の斎藤龍興を追放し、信長は美濃一国をその手中に収めます。

この後で、秀吉は名軍師として知られる竹中半兵衛を自分の与力としてつけてくれるよう信長に願い出ており、家臣層の充実もはかっていきました。

秀吉は自分の郎党をほとんど持たない身分でしたので、外部の有能な人材の取り込みは、彼にとっても重大事だったのです。

このあたりは信長のやり方をまねていたのでしょう。

信長の重臣となる

その後も信長の躍進に従い、秀吉も各地を転戦します。

近江(滋賀県)の攻略戦で軍功を上げ、次いで京都の政務を信長から任されます。

さらに2万の軍を率いて但馬国(兵庫県北部)に侵攻し、10日で18の城を落とすという、すさまじい戦果を上げています。

この頃には、内政・調略だけでなく、軍の指揮官としての能力も信長から認められるようになっていました。

秀吉はやればなんでもできてしまう、という万能型の人材で、信長からすればこれほど使い勝手のよい家臣もなかなかいなかったでしょう。

同じように扱われた人物に、明智光秀がいます。

この二人はともに、信長に当人の代から仕えた武将でしたが、いずれも信長から能力を高く評価され、家臣団の中でも一、二を争う立場を得ていくことになります。

【次のページに続く▼】

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