太田資正 軍用犬を用い、北条氏と戦い続けた知将の生涯

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太田資正すけまさは戦国時代に武蔵(埼玉・東京あたり)で活動し、勢力を拡大する北条氏への抵抗を続けた武将です。

居城を失い、息子たちに裏切られながらもしぶとく戦い続け、最終的には北条氏の滅亡を見届けることになりました。

この文章では、そんな資正の生涯について書いてみます。

誕生

資正は1522年に、太田資頼すけよりの次男として誕生しています。

太田氏は扇谷おうぎがやつ上杉氏の重臣を務める家柄です。

上杉氏の一族は室町時代において、関東から越後(新潟県)にかけての広大な領域を支配する大勢力でしたので、太田氏もまた名門の武家だったのだと言えます。

特に曾祖父である太田道灌どうかんは、室町時代末期の名将として広く世に知られる存在でした。

しかし資正が成人した頃には、関東における上杉氏の勢力は、弱体化の一途をたどっていました。

このため、資正の生涯は複雑なものにならざるを得なくなっています。

兄の元を離れる

太田氏の家督は兄の資顕すけあきが継承したのですが、上杉氏にかわって勃興してきた北条氏に臣従する姿勢を見せたことから、資正は兄に反発するようになります。

資正は上杉氏を支えたいという意識が強く、侵略者である北条氏のことを嫌っていました。

このため、太田氏の本拠である岩付いわつき(岩槻)城を出て、松山城に居住するようになります。

松山城は資正の舅である難波田なんばだ憲重のりしげの居城で、武蔵の中央部を抑える要衝です。

やがて難波田憲重の子どもたちが相次いで戦死したため、資正は婿として、1537年にこの城の継承権を得ました。

憲重は衰退していく上杉氏を支えた勇将で、本拠の河越城を失った主君・上杉朝定ともさだを松山城に迎え、侵攻してきた北条軍を撃退する活躍を見せています。

資正はそんな舅の元で武将としての活動を開始しますが、やがて主家が完全に滅亡する事態に遭遇することになります。

扇谷上杉氏が滅亡する

1546年になると、上杉朝定や古河公方の足利晴氏らは8万という大軍を集結させ、北条氏に奪われていた河越城を奪還しようとしました。

しかしこの大軍は北条氏の当主・氏康の夜襲を受けて壊滅し、上杉朝定が戦死してしまいます。
(陣中で病没したという説もあります)

朝定には子どもがいなかったため、これで扇谷上杉氏は断絶となりました。

さらにこの戦いでは舅の難波田憲重もまた事故死しており、一度に主君と舅を失った資正は窮地に追い込まれます。

資正はやむなく松山城を放棄し、しばらくの間は上野こうずけ(群馬県)に潜伏して再起の時を待つことになりました。

松山城と岩付城を奪還するも、勢力は安定せず

資正の潜伏時代はそれほど長くなく、翌1547年の9月には、北条氏の隙をついて松山城を奪還しています。

さらに12月には岩付城をも奪取し、武蔵における勢力を回復させました。

そして岩付城を奪取する以前に、兄の資顕が病死していたため、資正は太田氏の家督を継承しています。

自身は岩付城を居城とし、空いた松山城を従兄弟の上田朝直ともなおに任せます。

しかし間もなく離反され、松山城ごと北条氏に寝返られてしまいました。

この頃には、上杉氏の滅亡に伴って、関東の武将の多くが北条氏に従うようになっており、北条氏に対抗意識を燃やす資正の活動は、なかなか成果をあげることができませんでした。

北条氏に降る

松山城を奪い返されると、やがて北条氏の大軍に岩付城が包囲されてしまいます。

このため、1548年に資正は北条氏に降伏しています。

太田氏は名門だったため、北条氏康も資正に配慮し、古河公方・足利義氏の家臣として扱い、北条氏に直接仕えさせることはしませんでした。

また、資正の嫡男・氏資うじすけと氏康の娘が婚約をするなど、厚遇を受けています。

それほど、武蔵や関東における太田氏の影響力が大きかったことがうかがえます。

資正はこの時期、常陸ひたち(茨城県)の佐竹氏と戦いつつ、奥州の伊達氏との交渉を担当するなど、軍事と外交の両面で活動しました。

資正は外交を得意としており、生涯に渡って各地の大勢力との関わりを持ち、関東で一定の立場を確保しています。

【次のページに続く▼】

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