聖徳太子(厩戸王) 古代日本の発展に尽くした英才の生涯

両者の対決となり、聖徳太子も参戦する

やがて用明天皇が亡くなると、守屋はかねてより関係を深めていた穴穂部あなほべ皇子を皇位につけ、権力を握ろうとします。

これを知った馬子は、用明天皇のきさきである炊屋姫しきやひめを奉じ、先手を打って穴穂部皇子を殺害してしまいました。

この時代においては、権力争いの渦中で皇族が殺害されることも珍しくなく、穴穂部皇子と結びつきが強かった宅部やかべ皇子もまた、殺害されています。

馬子は他の皇子や群臣たちとはかって兵を集め、この機に守屋を攻め滅ぼすことにします。

この軍勢の中には聖徳太子も加わっており、他にも泊瀬部はつせべ皇子、竹田皇子、難波皇子、春日皇子らも属していました。

また、馬子の他には紀氏や大伴氏、阿部氏、坂本氏などの豪族が名を連ねています。

彼らはいずれも、後に栄えた氏族になりました。

守屋は自ら迎撃する

物部氏は軍事を司る一族でしたので、この討伐軍に対し、頑強に抵抗しました。

守屋は子弟と配下の兵を率い、稲城いなき(稲を積んで造った柵)を築いて防衛線とし、討伐軍を迎撃します。

守屋は木に登り、枝の間に身をおき、そこから雨のように矢を射かけ、討伐軍をひるませました。

一方、討伐軍は脆弱で、守屋の勢いを恐れ、三度も撤退しています。

この様子から、討伐軍は数こそ多かったものの、兵の質では守屋に劣っていたことがうかがえます。

四天王の像を作る

この時、聖徳太子はまだ十六才の若者でした。

味方が劣勢なのを見ると、白木を削って四天王(仏教の守護神)の像を作り、「いまもし、私を敵に勝たせてくれるのであれば、かならず四天王のおんために寺塔をたてよう」と誓願しました。

すると馬子もまた「諸天王や大神王が私を守り、利益を得させてくれるのであれば、諸天と大神王の御ために寺塔を建て、三宝(仏教の宝物)を伝えましょう」と誓いをたてます。

このようにして、討伐軍の中心人物たちが仏教に勝利を祈願すると、軍の士気が高まりました。

そして再び守屋に攻撃をしかけます。

迹見赤檮が守屋を討つ

この時、討伐軍の中から迹見とみの赤檮いちいという者が進み出て、守屋を狙撃し、木の上から射落としました。

そして守屋とその子どもたちをも討ち取り、これによって物部軍は壊滅します。

物部氏の残党は逃亡し、姓を改め、名を変え、ひそかに遠地で生き延びました。

こうして物部氏の勢力は潰え、蘇我氏がさらに台頭することになります。

四天王寺や法興寺が建立される

乱が終息すると、やがて誓約した通り、聖徳太子は摂津せっつ(大阪)に四天王寺を建立しました。

寺の運営基盤として、物部氏から接収された奴婢や土地があてられます。

また、馬子は飛鳥の地に法興寺を建立し、仏教が日本において、本格的に栄えていくことになりました。

海外からの文物を取り入れて変革を図ろうとする、馬子や聖徳太子らの改革派が勝利し、守屋のように、従来の体制を維持しようとした保守派が敗れた、というのがこの戦いの構図でした。

崇峻天皇と馬子の争い

こうした混乱の後に、先に守屋との戦いに加わっていた泊瀬部皇子が即位し、崇峻すしゅん天皇となります。

崇峻天皇は、用明天皇の異母弟でした。

そして馬子は引き続き大臣となるのですが、やがて天皇は実権を馬子に握られていることに不満を抱くようになり、両者の関係が悪化していきました。

五九二年になると、猪が天皇に献上されたのですが、天皇はこの猪を指さし「いつかこの猪の頭を斬るように、憎い者を斬ってやりたい」と述べました。

言葉だけでなく、多くの兵を集めたため、朝廷には不穏な空気がただようになります。

これを伝え聞いた馬子は危機を感じ、天皇の暗殺を計画するようになりました。

この時、馬子に密告したのは、天皇の后の大伴小手子こてこでした。

小手子は天皇の寵愛が衰えたことを恨んでおり、このために夫の不利になるように立ち回ったのです。

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