荀彧 曹操の元で王佐の才を発揮するも、自害に追い込まれた悲運の宰相について

西方への政略を献策する

曹操は近隣の寃を支配する張繍(ちょうしゅく)との戦いに敗れた際に、袁紹から手紙で侮辱されて激怒したことがありました。

この時に他の群臣たちは、曹操が張繍に敗れたから怒っているのだろうと考えていましたが、荀彧だけは曹操の袁紹への敵愾心を見抜いていました。

このため、曹操の方が袁紹よりも有利な点を述べるなどして、曹操を励ましました。

しかし曹操は、もしも袁紹が関中(大陸西方)を抑えてしまえば、とても対抗できなくなるだろうと恐れており、これに対して荀彧が対策を述べます。

「関中は10の勢力に別れて争っており、これをまとめることは困難です。もしも公(曹操)と袁紹が争いを初めたら、主な勢力である馬騰や韓遂らは様子見をして自分の勢力を保つことだけを考えるでしょう。ゆえに、彼らに恩赦を与えて同盟を結んでおけば、公が中原を平定するまでの間は釘付けにしておけるでしょう。その担当者には鍾繇が適しています」と曹操に伝えました。

曹操は荀彧の策を採用し、鍾繇に関中の諸勢力への外交を任せました。

鍾繇は曹操の期待に応え、外交によって馬騰や韓遂との関係を安定させ、西方からの脅威を取り除くことに成功しています。

また、袁紹が関中に軍勢を送って制圧しようとした時には、これを迎撃して討ち破る功績も立てました。

袁紹に勝てると主張する

198年になると、曹操は張繍と呂布を討ち破り、4州の太守の地位を手に入れます。

そして同じく河北で4州を制した袁紹と本格的な闘争を開始しました。

両者はともに4州ずつを抑えていたものの、曹操の領地は多くの群雄の手によって争奪戦が行われたため、荒廃していました。

このために動員兵力には大きな差がついており、袁紹が10万、曹操が4万程度の兵数であったと言われています。

このような状況下で、曹操が群臣たちに戦いの是非を問うた時、孔融が袁紹陣営の人材の豊富さと兵力の多さを理由に、勝ち目が薄いと主張しました。

これに対し、荀彧は袁紹陣営の欠点を述べて反論します。

「袁紹軍は数こそ多いものの、軍法が整っておらず、さほどの強さを備えていません。また、将軍の顔良と文醜は粗暴で知恵に乏しく、策を用いれば一度の戦いで討ち破れます。軍師の田豊は強情なために袁紹に用いられず、許攸は欲深いので身持ちが治まりません。また、審配は独断的で、逢紀は自分勝手なので、陣営はまとまらないでしょう」と述べ、曹操に十分に勝ち目があると結論づけました。

荀彧の予想通りに戦況が進む

200年になると、ついに曹操と袁紹は官渡の地で激突します。

この時に荀彧は許昌に残り、曹操の領地の統治を担当し、後方支援にあたりました。

そして荀彧の代わりに荀攸が曹操の側に仕え、戦場での策の立案を担当しました

官渡の戦いにおいては、荀家の二人の人材が前線と後方を支えた、ということになります。

前哨戦となった白馬の戦いで、荀彧の予想通り、袁紹軍の将軍・顔良と文醜は荀攸の立てた策にはまって討ち取られています。

また、袁紹軍で最も優れた軍師である田豊は持久戦を主張したのですが、袁紹に受け入れられませんでした。

それでも田豊は繰り返し自説を強く主張し続けたため、袁紹に疎まれて投獄されてしまいます。

代わって袁紹軍の主導権を握った郭図は田豊よりも能力が劣っており、このことが曹操軍に有利に働くことになります。

曹操を励ます

前哨戦では勝利したものの、兵数の差によって、曹操は官渡城の防衛戦で苦境に追い込まれます。

そして袁紹軍に内通する武将まで現れる状況となりました。

このために曹操は弱気になり、荀彧に対し、許昌まで引き下がって袁紹を迎え撃つべきではないか、と撤退をほのめかす手紙を送っています。

これに対し、荀彧は官渡城で防衛戦を続けていれば、必ず袁紹陣営には変事が生じ、勝機が訪れるので、粘り強く戦うようにと励ましました。

曹操はこの手紙を受け取って気を取り直し、荀彧が予測した機会の訪れを待ちます。

【次のページに続く▼】

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