賈詡 張繡や曹操に仕えて活躍した智謀の士

賈詡が述べた理由

賈詡は次のように答えます。

「それこそが曹公に従うべき理由です。

まず、曹公は天子を奉じて天下に号令しています。

これが従うべき第一の理由です。

袁紹は強大ですから、我々が少数の軍勢を引きつれて従っても、重く用いないでしょう。

一方で、曹公は袁紹と比べれば軍勢が少なく、弱いので、我々の戦力を得れば必ず喜びます。

これが従うべき第二の理由です。

そして霸王になろうと志す者は、私怨を忘れ、徳を四海の内(国中)に輝かせようとするものです。

これが従うべき第三の理由です。

願わくば、将軍においては、疑われることがありませぬように」

曹操に高く評価される

張繡は賈詡の意見に従い、軍兵を引きつれて曹操に帰順しました。

すると曹操は会見して喜びを表し、賈詡の手を取って言います。

「わしに天下の人々の信頼と尊重を与えてくれるのは、君だ」

そして上表して賈詡を執金吾しつきんご(都の警備長官)に任命し、都亭候に封じました。

さらに州牧(長官)にも任じ、厚遇します。

この頃、冀州は袁紹の支配下にありましたので、実際には参司空軍事として、曹操の側で参謀の役を務めることになりました。

このようにして、賈詡は曹操の陣営に加わったのでした。

なお、張繡は楊武将軍に任じられ、娘が曹操の子と結婚しており、こちらも厚遇を受けています。

そして袁氏との戦いで活躍し、二千戸もの領邑を与えられました。

こうして、賈詡の判断が正しかったことが証明されています。

曹操の相談を受ける

袁紹が官渡において曹操を包囲すると、やがて曹操軍の兵糧が尽きてしまいます。

行き詰まっていた曹操は、どのような計略をとればよいか賈詡に相談しました。

賈詡は「公(曹操)は聡明さで袁紹に勝り、勇気で袁紹に勝り、人を用いる器量で袁紹に勝り、好機における決断力で袁紹に勝っておられます。

この四つの優位な点を持ちながら、半年をかけても勝利を定めることができないのは、ただ万全を期そうとなされているからです。

好機において決断を下されたならば、すぐにでも勝利することができるでしょう」

これを聞くと曹操は「よきかな」と言いました。

曹操が勝利する

間もなく、袁紹の陣営から許攸きょゆうが寝返り、袁紹軍の食糧基地の場所を曹操に教えました。

曹操の参謀たちは許攸を信用しようとしませんでしたが、賈詡と荀攸じゅんゆうだけが、曹操に出撃を勧めました。

これこそが、まさに賈詡が指摘していた好機だったのでした。

曹操は決断を下し、自ら軍勢を率いて打って出ます。

そして烏巣うそう淳于瓊じゅんうけいを打ち破り、袁紹軍の食糧を焼き払いました。

この結果、補給ができなくなった袁紹軍は壊滅状態となり、袁紹は撤退せざるを得なくなります。

その後、袁紹が病死すると、曹操は子の袁たんや袁しょうらを討ち、河北の平定に成功しています。

この戦いでは主に荀攸が軍師として活躍しましたが、賈詡もまた勝利に貢献しました。

曹操は自ら冀州牧を兼任するようになったので、賈詡は太中大夫たいちゅうたいふ(皇帝の顧問官)に転任しています。

荊州占拠後の戦略

208年になると、曹操はけい州の討伐に向かい、この地を占拠しました。

そして長江の流れに沿って東に向かい、孫権を討とうと考えます。

賈詡はこの時、次のように意見を述べています。

明公とのは先に袁氏を撃破なされ、いま漢南の地を手中に収められました。

威名は遠方にまで鳴り響き、軍勢はすでに強大になっています。

もしも、旧の地(荊州)の豊穣さを活用しつつ、軍吏や兵士をねぎらい、民衆を安んじ、楽しんで仕事をするように仕向けられたなら、軍を用いるまでもなく、孫権は帰服するでしょう」

【次のページに続く▼】

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