袁紹 曹操と覇を競うも、官渡で敗れた名門の当主

権限が分散される

郭図はこの機会に自分の権限を拡大しようとし、袁紹に沮授を疑わせようと働きかけます。

「沮授は政治と軍事を統括し、その威信は全軍に行き渡っています。

もしも彼がさらに勢力を増すと、制御するのは容易ではなくなります。

臣下と主君の権限が同じではない国は隆盛になり、主君と臣下の権限が同じ国は滅亡します。

これこそが黄石公こうせきこう(古代の兵法師範)が戒めたことです。

外に出て軍を統括する者を、内において政治に関わらせるべきではありません」

これを聞くと袁紹は疑心暗鬼にとらわれるようになり、これまで袁紹軍の成功を導いてきた沮授への信頼を失ってしまいます。

このため、監軍の権限を三分割して三都督とし、沮授と郭図、淳于瓊じゅんうけいにそれぞれ一軍を司らせることにしました。

その上で軍を結集させ、南への進軍を開始します。

袁紹の誤り

軍勢は数が多くとも、まとまっていなければ力を十分に発揮できないものですが、袁紹は決戦を前にして、自らそれを分散する方針をとってしまいました。

同じようにして、領地を子どもたちに分割して統治させていましたが、このような袁紹のやり方が、勢力内で派閥を形成させることにつながり、内部で競争が発生し、組織が円滑に活動しづらくなっていきます。

袁紹自身の優柔不断によってこのことの弊害が大きくなり、袁紹の勢力は現代で言う、大企業病にとりつかれたのだと言えます。

袁術が死去する

袁紹の従弟の袁術は、南方の楊州のあたりに勢力を築いていましたが、曹操に何度も敗れて弱体化し、勝手に皇帝を名のったことで敵が増え、追いつめられていきました。

すると、反目しあっていた袁紹に援助を求めて来たので、袁紹は応じることにします。

これを受け、袁術は徐州を経由して北に向かおうとしました。

このことを知った曹操は、従属していた劉備を徐州に派遣し、両者の合流を防ごうとします。

劉備が出陣して徐州に入ったころには、袁術は既に病死していたのですが、これをきっかけとして、情勢が変化していくことになりました。

劉備と同盟を結ぶ

劉備は徐州に入ると曹操を裏切り、刺史の車冑しゃちゅうを殺害し、はいに駐屯してこの地を支配します。

そして袁紹と連絡を取り、連携して曹操に対抗することにしました。

これを受け、袁紹は騎兵を送って劉備を援護します。

すると曹操は、劉岱りゅうたいと王忠を派遣して討伐しようとしますが、劉備には歯が立たず、簡単に撃破されました。

こうして曹操の北に袁紹が、東に劉備が敵対勢力として存在することになり、袁紹にとって有利な状況が作られます。

曹操を追撃せず

配下の武将では劉備を討つのは難しいと判断した曹操は、自ら劉備を討伐するべく徐州に向かいます。

これを知った田豊は、袁紹に曹操の後方を襲撃するようにと進言しました。

しかし袁紹は息子の病気を理由にしてこれを拒否し、出撃を許可しませんでした。

田豊は憤り、杖を振りあげて地面を叩きます。

「またとない機会に遭遇しながら、赤子の病で機会を逃すとは、なんと残念なことだ!」

曹操が徐州に到着すると、劉備はほとんど戦わずに逃走し、袁紹の元に身を寄せました。

こうして徐州は曹操に奪還され、袁紹は曹操を叩く絶好の機会を、自ら潰してしまいます。

危険を犯して自ら劉備を討った曹操と、動かずに勝機を逃した袁紹の間には、武将としての力量に大きな差がありました。

【次のページに続く▼】

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