劉邦はどうして項羽を討ち破り、漢の高祖になれたのか?

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韓信を淮陰侯に降格する

しばらくすると、韓信が謀反を企んでいる、と密告する者が現れました。

これは韓信が項羽の重臣であった、鍾離昧しょうりばつをかくまっていたためです。

韓信は鍾離昧が同郷の出身で、友人であったことから匿っていただけで、謀反の意志はありませんでしたが、劉邦はこれを口実にして韓信の力を削ぐことにします。

韓信は軍事の天才であり、正面から戦っては勝ち目がありませんので、劉邦は巡幸に出た際に、他の諸侯たちと同じように、韓信にも自分の所にやって来るようにと呼びかけます。

そして自害した鍾離昧の首を持ってやって来た韓信を捕らえると、楚王の地位を剥奪し、淮陰わいいん侯へと格下げしてしまいました。

これによって、韓信には独立した軍権がなくなり、その才能を発揮する機会を奪われています。

匈奴との戦いに敗れる

一方で劉邦は、この頃に北方の騎馬民族である匈奴きょうどに備えるため、韓王の信を代に派遣して備えさせました。

信は匈奴の精強さを知り、和平を唱えますが、漢の首脳部から裏切り者と見なされ、孤立してしまいます。

すると信は、やがて匈奴に降伏しました。

こうして足かがりを得た匈奴は、40万という大軍で漢に攻め込んできました。

劉邦は32万の軍勢を率いてこれを迎撃しますが、匈奴の偽装撤退につられて追撃したところを包囲され、危機に陥ります。

劉邦は7日間に渡って孤立し、食料も尽きてしまいます。

この時に側にいた陳平が、匈奴の単于ぜんう(君主)の妻に贈り物をし、このまま匈奴が漢を征服すると、漢の美女に単于が惑わされ、寵愛を失うことになるかもしれない、とそそのかし、劉邦を逃がすように促しました。

これによって包囲の一角が開かれたので、劉邦はそこから脱出し、命からがら、都の長安に帰還しています。

その後、劉邦は毎年貢物を送る、という屈辱的な条件で匈奴と講和を結びます。

この関係が覆るには、後の武帝の登場を待たねばなりませんでした。

この時代の漢は、まだ周辺の騎馬民族を圧倒できるほどの実力は備えていなかった、ということになります。

劉邦は皇帝になったとは言っても、まだまだ多くの問題を抱えていたのでした。

韓信が謀反を企む

こうして劉邦が匈奴に敗れ、その権威が低下した頃、淮陰侯に落とされた韓信は、この機会を利用し、天下を奪取するための謀反を計画しました。

そして自分を慕う陳豨ちんきを仲間に誘いこみます。

鉅鹿太守となった陳豨に反乱を起こさせ、劉邦が討伐に出かけた隙に、長安を乗っ取ってしまおう、というのが韓信の立てた策でした。

大きな名声を持つ韓信が、首都を占拠して挙兵すれば、諸侯の中になびくものが現れ、漢は危機に陥ったことでしょう。

しかし韓信の下僕がこれを密告したため、漢の首脳部の知るところとなります。

そして皇后の呂雉に相談を受けた蕭何が、事態の収拾に乗り出します。

蕭何はかつて韓信を劉邦に推薦して大将軍の地位につけた、という経緯がありましたので、この時点でも韓信に信用され続けていました。

蕭何は劉邦が陳豨の討伐に成功した、という虚偽の噂を流し、諸侯に「宮中に参内してお祝いに来るように」と呼びかけます。

そして韓信にも声をかけ、疑いを晴らすためには宮殿に来たほうがいいと伝え、それを信じてやって来た韓信を捕らえてしまいました。

韓信が処刑される

そして呂雉の命令によって、劉邦が不在のまま韓信は処刑されます。

韓信は最期に、「蒯通の勧めに従わなかったことが心残りだ」と述べました。

斉王である時に独立を目指していれば、皇帝になったのは韓信であったかも知れず、機を逸したことが残念だったのでしょう。

こうして韓信は、漢の建国に対して大きな貢献をしたものの、報われることがありませんでした。

あまりに強い将軍は、天下統一が成った後には、よほどにうまく立ち回らないと粛正されることが多いのですが、韓信もそのてつにはまってしまったことになります。

【次のページに続く▼】

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楚漢戦争 中国史

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