劉邦はどうして項羽を討ち破り、漢の高祖になれたのか?

蒯通に天下三分を勧められる

武渉がむなしく去った後、韓信に仕える蒯通が、漢からの独立を韓信に勧めました。

蒯通の目には、韓信は劉邦や項羽よりも優れており、天下を統一して皇帝になることも可能ではないかと考えたのです。

「斉という大国の王になったのですから、漢と楚と天下を三分し、劉邦と項羽が戦いに疲れたところを攻撃し、諸侯をまとめ上げれば、天下を得ることもできるでしょう」と進言しました。

韓信はこの蒯通の言葉に悩むものの、天下の主になりたいという野心は持っておらず、劉邦から受けた恩を理由に退けています。

蒯通は後難を恐れ、発狂したふりをして韓信の元を出奔しました。

こうして韓信は劉邦の臣下であり続けることを選択し、ついに劉邦と項羽の戦いも、最終局面を迎えることになります。

劉邦と項羽が直接対峙する

広武山における両軍の対峙が長引き、これを打破するため、項羽は珍しく計略を用います。

まず、彭城の戦いの後に捕縛していた劉邦の父・劉太公を大きな釜に入れ、「父を煮殺されたくなければ降伏せよ」と劉邦に迫りました。

しかし、劉邦と項羽はかつて義兄弟の契りを結んでいたことがあっため、「お前にとっても父親なのに煮殺すのか」と批判してこれをかわしています。

人質を利用する手段がうまくいかなかったため、次に項羽は劉邦に一騎打ちを挑みます。

劉邦は「わしが戦うほどのことではない。必要なら入れ墨者(犯罪者)にでも相手をさせよう」と返答をして項羽を笑います。

項羽の策で劉邦が重傷を負う

項羽も劉邦が一騎打ちを素直に受け入れるとは考えておらず、腕の良い部下に、密かに(機械じかけの強力な弓)を用いて劉邦を狙撃するようにと命じていました。

この部下の放った矢は見事に劉邦の胸部に命中し、劉邦は重傷を負ってしまいます。

しかし劉邦はとっさに足をさすり、「やつめ、足の指に当ておったわ」と言って触れ回らせ、籠城している兵士たちが動揺しないようにと配慮しました。

この傷は深く、劉邦は病床に伏せることになりましたが、姿が見えないと兵士たちが不安がり、士気が下がってしまいますので、張良は劉邦に無理をさせ、陣中を巡らせて元気なふりをさせています。

こうして項羽の策も不発に終わり、決着をつけることはできませんでした。

項羽ほどの武将が劉邦をだまし討ちにしたわけですが、それほどに、この頃には戦いを続けるのが難しくなっていたのだと言えます。

和睦する

結局のところ、広武山では両軍は決着をつけることができませんでした。

項羽は彭越らの撹乱によって食料が不足し、将兵たちが疲弊し、これ以上戦いを続けることはできなくなっていました。

劉邦も項羽軍の激しい攻撃を受け続け、同じく疲弊していたために、和睦することにします。

この時の話し合いの結果、大陸を大きく2つにわけ、東を項羽が、西を劉邦が支配とする、ということで話がつきました。

こうして広武山の戦いは終結しましたが、ここから劉邦は、項羽にとどめを刺すための活動を開始することになります。

しかしそれは、すんなりとは進行しませんでした。

張良と陳平が追撃を勧める

項羽が彭城に向けて撤退を始めると、劉邦も関中に戻ろうとしますが、この時に張良と陳平が劉邦の元を訪れ、項羽軍を追撃するようにと勧めました。

これは明確な盟約違反となりますが、それを犯してでも、項羽軍が弱体化しているこの好機に、決着をつけてしまうべきだ、というのが張良たちの意見でした。

すでに触れた通り、項羽軍はこの時、食糧不足と長く続いた戦闘によって疲弊していました。

これが彭城に戻って休息をすれば回復してしまい、そうなると、いつまた項羽を倒せる好機が訪れるかはわからなくなります。

劉邦はこの進言を受け入れ、項羽との最終決着を目指して軍を動かします。

【次のページに続く▼】

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